ハッピーエンドなんていらない




紫苑が、羨ましくて仕方ない。

わたしだって、そんなことを湊に言ってもらいたいんだよ。

湊に構ってもらうことを断るなんて、わたしにとっては最上級の贅沢だ。


紫苑はそんな贅沢を、何でもない顔でするから。


いつからわたしはこんなに嫉妬深くなったのだろうか。

彼女でもないくせに。そんな権利ないくせに。

どうしてこんなに紫苑が羨ましくて、妬ましいのだろうか。


どうして、こうなってしまったのだろうか。

わたしには分からないし、きっと誰にも分からない。


「ああほら、そろそろ先生来るから、紫苑も席ついて」

抱きついてきた紫苑を引き剥がしながらそう言うと、紫苑はしぶしぶわたしから離れた。

そうして、紫苑も湊もそれぞれ席につく。

鼻をかすめた紫苑のいい香り。

女らしくて魅力的なのは、紫苑がそれなりの努力をしてるからだ。

きっと、そうなのに。

それを分かっていながら、なんの努力もしないくせにわたしは紫苑に嫉妬する。