ハッピーエンドなんていらない




未だ繋がれたままの手に、ギュッと力が込められた気がして雪を見た。

大丈夫だと言うように、ギュッと手を握りしめられた。

わたしはぺったりと笑みを貼り付けて、先に観覧車に乗る2人を見送った。


…やっぱり、別々で良かったかもしれない。

あの狭い空間で幸せな2人を見ているのは少し、辛すぎるだろう。


そのすぐあと、雪と2人で観覧車に乗り込んで一息ついた。


「…やっぱり、まだ忘れられないよね」

申し訳なさそうな雪に、そんなことないよと首を振った。

「忘れられないけど、雪がいてくれるから、だいぶ楽だよ」

雪が彼氏である事実が、わたしの気持ちのストッパーになってくれてる。

ニコリと笑いかけると、雪はそっかと言って窓の外を見た。



「なあ」

沈黙した空気の中、ふと雪がわたしを見た。