カーテンから差し込む日光で私は目覚める。


「普通の朝…昨日のは何だったんだろう…」



私は今の生活で別に不満はない。
不幸体質は嫌だけど、仕方ないと思っている。


「別に要らないし、捨てよ。」



私は黒い紙をグシャグシャに、丸めゴミ箱に投げ込んだ。


カラン



昨日のことがあったせいか、ゴミ箱に当たる音が異様に響く。


私は気味が悪くなりすぐに学校の支度を済ませ家を出た。



私の唯一の楽しみ。登校中の鳥のさえずり、木が風で揺られる音、川の流れ、自然の音を楽しむことだ。



自然は私を1人にしない。むしろ、包み込んで癒してくれる。



私は昨日のことは忘れようと決めた。




教室に着くと、私はいつもまっすぐに席へ向かう。


するといつもは何もないのに、今日はいつもと違うのに気づいた。



「あー!遊佐じゃん!あいつ昨日、フラれたらしいよ〜〜」



(え、何のこと…?誰にも告白なんてしてないのに……)

(また、いつもの体質かな。)



私は無視して席に座る。


「無視は肯定ってことでいいんだよね〜〜。遊佐ドンマイ。」



「あの、私は誰にも告白してないから。勝手な事言うのやめてくれる?」



口が滑った。言うつもりはなかったのに、どんどん大きくなる嘘話に思わず口出ししてしまった。


「はぁ?私達が嘘つくわけないじゃん。そっちが勝手な事言うなよ。」



私はクラスメイトの適当さに呆れ、黙った。


私が反論したのが珍しかったのか、他のクラスメイトもそれ以上は突っ込まなかった。



私はその時黒い紙のことを思い出した。



授業が始まってもその事ばかりで内容が頭に入ってこない。


1日の授業が終わると私は急いで家に帰った。



急いでゴミ箱を見る。



「え…ない……」



朝捨てたばかりの紙がなくなっている。親も仕事でいないし、私以外にあの紙を回収できる人はいない。



「もしかして…」


私は即座に部屋に向かい、ドアを勢いよく開けた。


「やっぱり………」



黒い紙は机の上に元どおりになっている。


すると突然、あの白い文字が。



『この紙は捨てても戻ってきます。ちゃんと使ってくださいね♪』



「言われなくても使うところ!」


私は黒い紙に


〈erase〉私の不幸体質


と書いた。



「これで本当に消えるのかな。とりあえず何も実感ないけど……」


すると私の書いた文字が消え、


complete


と文字が出てきた。


「え⁉︎これでもう消えたって事?」


その後completeの字はすぐに消えた。



「何だったんだろう。でも明日学校に行けばわかるのかな。」






これから起こる事も、この紙がいかに重要な物なのかも私は考えずに、この日は1日を終えた。