ガララッ


保健室のドアを開ける。


さっき、俺、芹沢海斗は遊佐が保健室に来てる、ということを七瀬に聞いた。




(寝てる。)





遊佐の寝顔は初めて見た。





意外とまつげ長いんだな、とか
姿勢正しく寝てる、とか



考えながらとりあえず隣に座る。






(俺はこいつが気になってる。それは好きって意味なのか?)



顔をまじまじと見つめながら考える。




(いや、うん、好きなんだ。)






自分の好意を自覚すると、なぜか急に愛しくなり顔が重なる寸前まで近づけていた。






「……………⁈」







「あ。」






「……………え⁈」






「起きたの?」





「今起きた…っていうか…ごめん、教室戻る…」






そう言って遊佐が立ち上がろうとする。





俺はどうしていいかわからず、思わず腕を掴む。





その時。






コツコツコツ






保健室に誰かが向かってくるのが聞こえる。






俺はとっさにやばい、と思い遊佐を引っ張ってベッドの近くに行き、カーテンを閉めて隠れる。






保健室の先生「あら、誰か来てたのね。えーと、遊佐さんね。ちゃんと記入もしてあるし、ベッドで寝てるのかな。」





先生は記入表だけ確認してまた出て行った。






「ちょっと………⁇」






「あ、悪い…咄嗟に掴んじまった。」




こんな感覚は初めてだ。





こんな風に相手を想っての行動は経験がなくどうしたらいいかわからない。





「好きなんだよね。」





「え…⁇」





「だから、遊佐が好きなんだよ。」





言ってしまった。遊佐も顔を真っ赤にしている。






「あ、えと、それだけ。返事とかまだ良いから。」






よくわかんないまま俺は急いで保健室を後にした。





遊佐がどう思ってるかなんて考えてる暇もなく、走って教室に戻った。