黒い紙に少しづつ文字が浮かび上がる。



『この紙を手に取った貴方には2つの素敵なコマンドを差し上げましょう。』



(コマンド⁈よくわからない……それに、なんで、勝手に文字が……⁈)


黒い紙は私の心の声を無視して続ける。



『貴方に与えられたコマンドは〈create〉と〈erase〉です。では、使い方の説明に入ります。このままだと難しいのでちょっと失礼。』


私は訳がわからないまま立ち尽くす。

すると紙が突然光だし、私は眩しくて目を閉じた。



『初めまして。おや、もう目を開けても大丈夫ですよ。』



何が何だかわからないまま私は目を開けた。

そこには見知らぬ1人の男が立っている。全体的に黒い服を着ているが、どこかおぞましい雰囲気を纏っている。


『では説明しますね、この、コマンドについてですが………』


「ちょ、ちょっと待ってください。ここは何処ですか⁇それにあなたは?私の家はどーなってるの⁉︎」



『そんな1度に聞かれても答えられませんよ〜。そうですね、まずはここが何処か、についてですが簡単に言うと、黒い紙を使って異次元の空間を開いた、あなたはその中にいると思ってもらって構いません。』



「黒い紙の中⁈」


『はい。では私は誰かと申しますと、世の中にあるコマンドの売買人です。ご存知かと思いますが貴方には〈create〉と〈erase〉の2つを売りました〜♪』



「売りました〜って、ふざけないでください!勝手に売られても困るし、そもそも値段だって知らないのに」



『お金なら心配ご無用。私達の通貨は、貴方たち人間の欲、です。ですからさっき貴方が持っていた黒い紙を使うだけでいいんです。』



「欲…………」



『えぇ。そうですね、期間としましては……私が満足するまで、ということで。では、本題の説明に入りますよ?』



「よくわかんないけど、とりあえず聞きます。」



『まず、コマンド。〈create〉についてです。これは自分の好きなものを生み出すことができます。欲しい漫画、欲しい食べ物、何でもOKです。ただし、場所などを指定した場合は貴方自身がそこに連れて行かれます。』




『次に〈erase〉です。これは貴方が消したいものを消すことができます。これは何でも構いません。』



「………………」



『そして使い方ですが、先ほどの黒い紙に、何かを作りたかったら〈create〉と書いてそのあとに欲しいものを書いてください。〈erase〉の場合も同じです。』



「そんなこと言われても欲しいものも消したいものも別にわたしは………」



『おや!自分の不幸体質など思い出してください?貴方には色々あるはずですよ〜⁇では私はそろそろ戻らないといけませんので。あ、家にはこのまま戻しておくので大丈夫ですよ〜♪』



「え、ちょ、ちょっと待って!」



また、まばゆい光が目の前に広がる。



反射で目を閉じ、再び開けるとそこは元の部屋だった。


時間はそこまで経っていないようだ。


私は疲れ、そのまま寝てしまった。