世界は私の手の中に。





私たちは先生から指定された部屋の鍵をもらい、向かう。
私たちの部屋は205号だ。



「205、205…っと。あった、ここだ。」



私がドアを鍵で開けようとすると隣の部屋のドアが開く音がする。



ガチャ



私たちは一斉にそっちを見る。と同時に目が点になった。



「あ?あぁ隣か。よろしくな。」



芹沢くんが出てきたのだ。



「ん?海斗どした⁇あ、遊佐さんと楠木さん隣なんだ〜。よろしくね〜。」



そうして2人はホールの方へ行ってしまったが、私たち2人は驚きすぎてすぐに声が出なかった。



「…。ちょっと美香ちゃん。隣だよ‼︎」



部屋に入って開口一番、私が言う。



「嘘みたい…。別に隣ってだけで何も無いんだけど、何か頑張れる気がするよ、私‼︎」



「うんうん。幸先いいスタートだね。」



「ほんとにね!じゃぁ私たちも荷物置いて行こっか。」




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ホールでは今回の宿泊の目的、規則、禁止事項など、配布された紙を見ながら先生の長い話を聞いていた。



そして俺、芹沢海斗はさっきから変な違和感を抱いていた。


(自由時間…。なんかわかんねぇけど、海に行かないといけない気がする…。)



何故だかはっきりとはわからないが、誰かとその"約束"をした記憶があるのだ。


気付いたら先生の話は終わり、みんな移動を始めていた。



「おい、海斗‼︎なにボーッとしてんだよ。せっかくの自由時間だし、部屋に戻って遊ぼうぜ。」



「あぁ七瀬。俺さ、多分海行かないといけないんだわ。」



「はぁ?お前が海?またなんで?」



「誰かと約束した気がする。」



「誰か、って…。そんなんで大丈夫かよ。」



「あぁ。だからお前は部屋戻ってていいよ。」



「お前が行くなら俺も行くよ。なんか心配だわ。」



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