今日はオリエンテーション前最後の日曜日。



ということで、美香ちゃんと買い出しに来ている。



「とりあえず、旅行用の日用品は揃ったかな⁇」



「うん!楓は他に何か買うものある⁇」



「いや、特にないかなぁ。」



「ならさ、水着見ないかない⁉︎自由時間に海いこーよ‼︎」



私は美香ちゃんを芹沢くんと上手く遭遇させるチャンスだと思った。



「うん行こう!もしかしたら芹沢くんもくるかもしれないしね。」



「来たら水着見てくれるかな⁉︎いや、見られたいわけじゃ無いけど!」



「過激なやつ着てたら見てくれるかも⁇」



「もーやめてよ〜。私は健全な可愛いやつを選ぶんですー。」



「水着選び手伝うからね。」





そうして私たちはスポーツショップに向かった。春だからそこにしか水着はなかった。



店内には新入部員らしき人もちらほら見える。



スポーツに全く手をつけなかった私はこのような店に入るのは初めてだ。



「楓どした?そんなキョロキョロしちゃって。」



「いや、こーゆーところに来るの初めてだから何か新鮮で。」



「そっか。スポーツやらない人はここに用事はないもんね。中学て部活とか入ってなかったの⁇」



「うん、今まで部活とかも入ってなくて…」



「ん⁇あ、えっと何か言いづらいことだったら無理しないで。私は楓の笑顔が好きだなぁ。」



「私、美香ちゃんと友達になれてよかった。前も言ったかもだけどほんとに嬉しい。」



「うん、私も。だから楓、何か悩みがあったら私にぶつけて。1人で悩まないで。私は楓の味方だよ。それを絶対に忘れないで。」




「うゔゔぅぅ……。ありがどゔ……。」



「泣かないでよ〜。私も貰い泣きしちゃう〜。」



「………ふふ。」



「え、どした⁈」



「いや、スポーツショップの水着コーナーで2人で泣いてるって何かおかしくなっちゃって。」



「確かに。周りから見たら私たちやばいやつだよ。ふふふ。」



「美香ちゃん、ほんとにありがとう。私も美香ちゃんの話、なんでも聞くから。」



「うん、もちろん聞いてもらうね!じゃあ水着選ぼっか!」



「うん!」




私たちはあれやこれやと試着をしながらお互い買い物を終えた。




「あ、もうこんな時間‼︎そろそろ帰んなきゃだね。」



「そうだね。美香ちゃんは買い残し大丈夫⁇」



「ん、大丈夫!楓は⁇」



「私も大丈夫。じゃぁ帰ろうか。」






私たちは電車に乗り最寄りまで雑談をしながら向かった。




「じゃぁ楓、また明日学校でね!」



「うん、バイバイ!」





そして私は美香ちゃんと別れた。







「ただいまー!」



「お帰りなさい。あら、すごい荷物じゃない。買い物は楽しかった⁇」



「うん、すごい楽しかったよ!オリエンテーションも楽しみ。」



「そう。よかったわね。じゃぁ荷物置いてきちゃいなさい。そろそろ夕飯よ。」



「はーい!」



今日はお母さんも休日だから家にいる。



お母さんは休みの日はいつも家にいて、家事をしたり、ゆっくり趣味の時間に当てたりしている。



私も今まで外出する事なんて無かったから、最初出掛ける話をした時はとても驚いていた。



でもすぐにお母さんも嬉しそうな顔をしていた気がする。



(あの黒い紙のおかげで友達も出来たし、お母さんも嬉しそう。)







私は確実に少しずつ、黒い紙の魅力にハマっていったーーーーーーーーー。