「おはよーん美花」
「おはよ」
翌日、まぶたを擦りながら挨拶してきた真希に挨拶を返す。
このあと、真希は自分の机に突っ伏して二度寝に入るのが日常。
私はそんな真希の前の席に座り、何をするわけでもなくボーッとしているのがいつも。
だけど、今日はそうならなかった。
「あの、……北澤さん…いますか?」
少し高めの男の子の声が、真希のあくびと重なる。
「ふぁ……へ?……あ、君!神崎くんだ」
寝ぼけたままの真希は、そう言って目を覚ましたみたいだった。
神崎…という名で、昨日の男子だということに気がつき、何も無かったんだなーと安心した。
「あぁ、北澤さんだったね。北澤……あ、美花のことか。美花ーっ」
うん、まだ微妙に寝ぼけてる。
真希に呼ばれて、神崎と2人で廊下に出る。
「神崎、昨日大丈夫だった?」
廊下に移動してから声をかけた。
「はい……昨日は、本当にありがとう…」
弱々しい声を聞いて少し心配になるけれど、もしかしたら気の弱い人なのかもしれない。
それにしても。
近くで見るとその綺麗な顔に驚く。
わー、まつげながーい。
「……あの?」
「あ、ごめん」
ジロジロ見るのは失礼だったと思って謝る。
けど、神崎は気にしていないようで。
「その……今日、は…話があって……」
「うん?」
うつむいて黙り込む神崎の顔を、どうしたのかと思ってのぞき込む。
と。
「好き、に…なっちゃいました……北澤さんのこと…」
「………え。」
まさかの話でした。
男子に告白されるという初めての、まさかの経験。
私は固まるしかできなかった。