「うん、可愛いね」
「だよねー!」
ふと、彼の視線がこちらに向いた。
私たちの視線に気がついて小首を傾げるその姿は、小動物以外の何物でもなかった。
そのとき、クラスごとに集合がかけられて彼の視線は逸らされた。
私と真希も自分たちのクラスが集まる場所に移動した。
今日はプール授業初日の為、説明があり、後の残り時間は自由となった。
みんな泳いだり、どこからかビーチボールを持ってきて遊んでいた。
私は真希とプールサイドに座り、足だけを水に付けて話し込んでいた。
と言っても、私は真希の話を聞くだけで、特に話すことは無いんだけど。
まぁ、真希は誰が腹筋すごいーとか誰はダメだーとか男子の水着姿に感想を言ってるだけだけど。
「いやぁ、やっぱり美少年神崎くんもいいけど、熊谷くんの腹筋がいいわ〜」
「熊谷くん?私あんまりしゃべったことないなぁ」
「ね、そういえばさ、神崎見てないよね」
そう言われて見回してみるけれど、確かに見あたらない。
「ほんとだ……どこ行ったんだろね」
と、呟いた瞬間、視界のすみで不自然な水しぶきが上がった。
プールの端のほう。
あそこって、少し深くなってるんじゃ……
………………まさか。
そう思った瞬間、私はプールに飛び込んでいた。
「えっ、ちょ!美花!?」
もしかしたら、泳ごうとしていて溺れているんじゃ…!?
水の中に潜ると、人影がもがいているのが見えた。
急いで人影の所に行き、もがく身体に腕を回し水面に上げる。
「ゲホッ、ケホケホ!!ぅ……ゲホッ!」
「大丈夫!?」
水中ではそれどころではなくて、気が付かなかったけれど、顔を上げたのは神崎だった。
「…ケホ、ケホッ…すみま、せ……」
「いいよ、無理してしゃべらないで」
すると、人が溺れているのに気がついた真希が先生を呼んでくれていたようで、先生が引き上げてくれた。
「おい!大丈夫か!?」
「はい…、すみませ…ケホっ!ありが、とう…ございます…っ」
「大丈夫、ゆっくり深呼吸して」


