……………………え。
そんな神崎を見て、何故か私も赤くなる。
つられるわ。
もーなんだろう今日。
でも、オムライスか。
美味しいなら…………。
「……………………行く」
「え?!」
バッと振りかえった神崎はまだ微かに顔が赤くて。
私の答えをようやく理解すると、また爆発。
へなりと顔を隠してしまった。
神崎、そこで赤くなられるとね、私もつられるのよ。
顔の熱を冷まそうとして視線を別の方向に向けると、白いツツジが目に入る。
………そう言えば。
「神崎、ここ穴場だね。ぽかぽかしてて気持ちいいし。…なんで知ってたの?」
話題を変えようという気もあったけど本当に疑問でもあった。
「あ、僕………園芸部で」
あ、そっか。
ここ園芸部の花壇なんだ。
「それで………………ツツジが咲いてるのを思い出して」
………はて。
「なんでツツジ?」
と、普通に疑問に思って聞くと。
ぼっと赤くなった神崎。
え。
なに、なんで!?
私変な事言った!?
「……………………………ぃ」
神崎は顔を伏せたままぽつりと、呟いた。
よく聞き取れなくて首を傾げると。
ゆっくり立ち上がった神崎は、白いツツジの花を見回して。
その奥に1輪、誰かに踏まれたのか茎が折れてしまったものがあった。
花の部分は綺麗なままだということを確かめると、神崎は折れてしまった茎を手折って戻ってきた。
座ったままの私の前に立つと、神崎は腰をおって、私の髪にツツジを刺した。
その顔が赤くて。
髪に触れる手が優しくて。
私を見る目が、熱くて。
一瞬、時が止まる。
私の髪を撫でつつ、神崎は口を開いて。
「白いツツジの花言葉は…………『初恋』なんです」
とくん、と心臓が揺れる。
神崎の赤色がうつる。
「…………………ピッタリだと思ったんです」
ふ、と微笑んだ神崎に、私の心臓はうるさい。
一瞬静かになった空気に、はっとした神崎は、あわてて私から手を離した。
「すっ、すいません僕、ほんとに僕………なんで、ほんとにすいませ……!!」
わたわたと慌て出す神崎だけど、私も私でそれどころじゃない。
か、神崎ってあんな顔するんだ………!
あんな触れ方するんだ……!!
なんかもうなんかもうなんかもう!!!
どうしよう、私おかしい。
こんな、急に神崎のこと、なんか、意識してるみたいじゃん!?
いやいやいや落ち着こう!?
だって神崎は、私より可愛くて、女子力高くて………。


