騎士と姫が逆転しまして。










「な、に?」





声が固くなるのを感じつつ、ふと思った。






ち、近くないかな?







横にいる神崎の顔がなんか近い気が。






わ、まつげながーい。






ってそうじゃなくて。







神崎から微かに離れると、神崎ははっとして距離をとりつつ。





「………オムライス、好きなんですか?」






と。





…………………オムライス。






「なんで?」







「お弁当開けた時、嬉しそうだったので」







あ、うん。






え?






まじ?






「嬉しそう、だった?」





逆に聞き返した私に、神崎は一つ頷いた。








…………顔にでてたか。






「……うん、一番好きかな」







イメージ崩れるからあんまり言わないけどね。





なんか、イメージ的に肉にがっついていて欲しいらしいよ、皆さんは。







私の返答に、神崎はじーっと見てきて。







「………僕も好物なんです」






と、お弁当箱を差し出してきた。






その中には、ふわふわ卵の乗ったオムライス。






なんと、まぁ。






2人で顔を見合わせて。




「お揃いだね」





「ですね」






同時に吹き出した。







また不思議な共通点を見つけてしまった。






オムライスおいしいよね。






ふふふ、と笑った神崎は、私に向き合って。






「オムライスが美味しいお店を知ってるんです。今度一緒に行きませんか?」






と、ニコニコ自然に聞いてきた。







けど、逆に私は固まってしまった。






それは、なんというか。





昨日と同じになりそうというか。









………デー…………………。






顔が少し赤くなる。






そんな私を見て、はたと固まった神崎は。






「え、あ。僕………その、すいませんなんか………」






と、しどろもどろに顔を背けた。







顔は隠されてしまったけれど、私から微かに見える耳は赤い。







え、耳まで真っ赤にしてるの。