話込みながらも更衣室につき、着替えをすませる。




「ねぇ、そういえばさー、知ってる?超絶美少年の話」


「え?何それ」



「やっぱ知らないんだー。もう2年なのにねー」



残念ながら私はあまり人の名前と顔を覚えるのが得意ではない。



「隣のクラスの神崎くん。アンタと真逆ですっごい可愛いの!」



性別が逆転してるってことに関しては同じだけど、と笑いながら話す真希はとてつもなく楽しそう。



性別が逆転、か。



私は密かに真希と自分の身長を比べてため息をついた。











更衣室を出て、プールサイドに出る。



真希に言われて意識したからかはわからないけれど、すごく視線を感じた。




でもこの視線、ポジティブな視線ではなくて、ただ単に「でかっ!」という感想的な視線だと思うよ、真希。




「あ、ほら。あの子!」


私の心中などわかるわけのない真希は上機嫌にある場所を指さした。




そこに視線を向けると、男子用の水着を着てパーカーを羽織った人。


周りの男子より明らかに頭一つぶん低い彼は、下手をすると女子よりも小さいのではと思えた。




………私も人の事は言えまい。




「あの子が神崎くん!ね、美少年でしょ?」



神崎と呼ばれる彼は、確かに遠目でも可愛らしい顔つきをしていた。



なんというか、子猫?みたいな。