どこで食べるのかなーと思っていると、神崎は迷わずに中庭へ。
中庭って行ったことなかったなぁと思いつつあとを追う。
追いついてこっそりと覗いた神崎の横顔は、なんだか嬉しそうだった。
「ここでどうでしょう?」
と、神崎が立ち止まったのは、花壇の隅に位置する、白いツツジが咲く所。
チューリップなど可愛らしい花が咲く中で、ツツジは可愛らしいけれど、少し浮いて見えた。
そんな白ツツジを見つめつつ花壇に腰を下ろした神崎は。
何を思ったかハンカチを取り出して自身の横に敷いて。
「ここに座ってください」
と、ハンカチを差した。
え、え?
「わ、悪いよそんなの」
ハンカチ汚れるよ。
きちんとたたみ跡が付いているのを見ると、神崎の几帳面さがうかがえる。
真っ白な汚れなどないコレに座るなんてそんな。
と慌てると。
「女性を直で座らせるなんて、土がついてしまいますから」
と、神崎も神崎で譲る気なんてないようで。
「そ、そういうのは女の子には喜ばれるけどさ」
と、自分の性別を忘れていうと、神崎は困り顔をして。
「北澤さんも女の子でしょう?」
と、私を見つめてきた。
ぼっと顔が赤くなるのを感じる。
う。
やばい、久しぶりに女の子扱いされた。
女の子って、神崎に。
いつも真希や仲いい友人には女?と聞かれるくらいだし、男子は女として接してこないし、女子に告られるし。
昨日といい今日といい、神崎といると女の子なんだって気付かされるというか。
調子が狂う。
「北澤さん?」
「あ、いや………何でもない………えと、じゃあ失礼致します……」
戸惑う神崎を見て、覚悟を決めてハンカチに腰を下ろす。
なるべくゆっくり、シワがつかないように。
そんな私を見て、満足そうに笑った神崎は、自分の膝にお弁当を乗せるとそれを開いた。
私も落ち着こうと、深呼吸しつつお弁当の蓋を開ける。
あ、今日オムライスだ。
私がお弁当箱についているスプーンを取り出してオムライスを口に運んでいると、隣から視線が。
また心臓が脈打つのを感じつつ横を見ると、じーっと私を見ている瞳と目が合って。


