騎士と姫が逆転しまして。






真希についていくと、私たちの隣のクラスにたどり着いた。





そして、真希はドアを開けた瞬間に大声で叫んだ。






「かーーんーーざーーきーーゆーーうーーとーー!!」







………人の名前を。




しかも神崎。








なんでや。





「はい!?……あ、徳井さんと北澤さん…」






びくりとしながら慌てて立ち上がったのは、読書にいそしんでいた神崎。








うーん、相変わらず女子っぽい。






「ねぇ神崎、今日減ったものとかない?」






と、きょとんとしている神崎にむかって唐突に質問をぶつけた。






そしてきょとんを通り越して訳の分からないという顔をした神崎。







この2人って、本当相容れない性格だろうな。






「減ったもの…?」






どう考えてもおかしな真希の質問に、真面目に考える神崎。





いいこやなぁ。







と、感心していると。




「……あ!!」






さっきの真希に負けないくらいの、神崎にしては珍しい大声。






なんだなんだと思って神崎を見ると。






神崎は謎が解けたような、すっきりとした顔をして言った。






「ありました、減ったもの!!」






あったんかーい。






しかも楽しそう。






謎解き感覚なのかなぁ?





「あの………あ……えっと………その、これが」





彼はいいかけて、そして言うことを躊躇うように言葉を濁してから、そっと私たちにあるものを差し出した。







それは1通の手紙が括りつけられたぬいぐるみ。






「………これって?」






私はそれを受け取ると、手紙の差出人の所を見てみる。






そこには、私のクラスの男子の名前。






あぁ、なるほど。





つまり神崎も私と同じってことか。







同性の人からの贈り物を日常茶飯事でもらう。





嬉しいけど戸惑うやつ。






そしてほかの人、特に異性に知られるとかっこうつかないやつ。






神崎が一瞬渋ったのはそういう理由か。







私はもうなんか慣れてしまったけれど、神崎は男の子だし、余計気になってしまうのかもしれない。










気持ちわかるわーと思いつつ、私は昨日、神崎がよくぬいぐるみをもらうと言っていたことを思い出した。







「やっぱりね」






私が神崎にぬいぐるみを返していると、隣で真希がにやりと笑った。







「私の思った通りだわ」




「あぁ、そうだった。で?なんで減ってるって?」






私のラブレターが減った理由を真希が解説してくれるんだった。






けれど、そんなことをまったく知らない神崎は、きょとんと私たちを交互に見比べていた。







「ふふふ……それはね、アンタよ神崎」





「え?ぼ、僕?」





何事かも知らないことで名前を挙げられた彼は、まるで犯罪を言い当てられた犯人のごとく肩をあげた。







「僕、何かしてしまいましたか?!」






「いや、いいの神崎。気にしないで」





私は神崎を落ち着かせつつ真希に先を促した。