ぬいぐるみがたくさん置かれたお店を出てすぐ。
ショッピングモールの中心に置かれている時計が6時を告げた。
「あ、もうこんなに時間が経ってたんですね…」
時計に目を向けながら、神崎は小さく呟く。
「あ、私…今日お母さんに用事頼まれてたんだった」
今まで忘れていたけれど、時計をみて思い出した。
6時半にクリーニングに出してた服を取りに行かなきゃ行けないんだった。
「そうですか…じゃあ、僕送っていきます」
「え!?」
なぜそんな発想に。
「だって、女の子だけじゃ危ないでしょう?」
「…………」
どうしよう。
危ないのは私より神崎の気がする。
と言うかなんか。
今日、めっちゃ女の子扱いされてないか私……。
それがなんだか、むずがゆいような、心地よいような……。
複雑。
「大丈夫だよ、家ここから近いし」
「そう、ですか……?」
心配そうにしている神崎に笑いかけて手を振る。
「大丈夫大丈夫。神崎こそ、気をつけてね」
「はい……じゃあ」
気をつけてという私の言葉に、少しだけ嬉しそうに笑った神崎は、手を振り返した。
「また学校でね」
私はそう言って神崎に背を向けて歩き出す。
「あのっ!!」
歩き初めてすぐ、神崎の声に呼び止められる。
「はい!?」
神崎が大きな声を出すものだから、つられて私の声も大きくなった。
「……また、2人で出かけてくれますか?」
不安そうな、けれどどこか期待に満ちた神崎の顔が目に入る。
その顔が少しだけ赤くなっていて、私の顔も赤くなってしまう。
「………うん」
神崎の誘いに答えると、彼はホッとしたような、嬉しそうな顔で笑った。
その顔に、何故か心臓あたりがぎゅっとなった。


