あれから始業式が終わった。
今は教室だ。私の席は1番後ろの窓際。
周りでは久しぶりに会ったのもあり、楽しそうに喋っている。
私は窓の外を見ながら早く終わらないかと考える。
担任の話が終われば今日は終わりだ。
え?友だち?私には友だちなんていないから。
……1人ぼっちだから。
そんな事を考えていると、担任……拓巳が入ってきた。
周りはすぐさま席へとついていく。
何故か。それは最初の日、拓巳が「静かにしろ」「席につけ」と言ってたのに、周りは完全スルー。
そして拓巳がキレた。殺気丸出しでみんな震えてた。
私は怖くも何ともなかったけれど。
それからは、拓巳を怒らせないようにしようと暗黙のルールが出来たのだ。
“拓巳が入ってきたら席に座る”というルールが。
まぁ、それが普通何だ卦度ね。
「おし、みんな久しぶりだな。元気そうでなによりだ。
んで、いきなりだが転校生を紹介するぞー。入ってこい」
こんな時期に転校生か。
ま、私には関係ないこと。どうでもいい。
私は頬杖をつき空を眺め始める。
その時に丁度、ドアが静かに開いた。
チラッと見てみる。
そこには、カラフルな頭をしたイケメン6人組が居た。
勿論イケメンなんて女子がほっとくはずもなく。
「キャー!」
女子が黄色い声をあげる。
凄く五月蝿い。迷惑。
だけど原因は女子だけではないみたいで。
「あれって龍騎の幹部じゃねーか!?」
男子もざわついている。
ほんと五月蝿い。黙ってほしい。
私は少しでも声を遮断するためにイヤホンをして音楽を聞くことにした。
イヤホンからは好きな曲が流れる。
私は目を瞑って聞き入る。
「お…………き……ん……」
何か声が聞こえた気がする。
でも私に声掛けてくるのなんて、今いる中では拓巳ぐらいだ。
気の所為か。
そう思いまた聞きいろうとした時。
音楽が聞こえなくなった。
変わりに入ってくる周りの声。
すぐに何が起こったのか分かった。
イヤホンを取られたのだ。
今目の前に居る転校生の紫髪の奴に。
「なに」
「……総長からの命令」
これは会話になってないな。
「拓巳、この人たち何なの?」
私は質問の矛先を拓巳に変えた。
だってどうせ会話にならないから。
「はぁ、今自己紹介したばっかだろ?」
周りはさっきよりもざわついてる……気がする。
なに、そんな凄い奴ら?
「龍騎。俺の後輩だ。赤髪が総長、青髪が副総長、緑髪と紫髪と黄髪とピンク髪が幹部な」
ふーん、つまりは赤髪命令と。
私は赤髪の方へ向き、紫髪と同じ質問をした。
「なに」
と。
「いやー、俺らイケメンで、全国No.1の龍騎の幹部ってことで周りから騒がれんのが普通なのよ。なのにお前は興味なさそうにしてたし、俺らのことも知らねーみてーだからさ、ちょっと興味もったのよ。いや、ちょっとどころじゃねーかな」
「自意識過剰すぎ」
ボソッと私は呟いた。
「あ?」
あ、紫髪キレそうになってる。
でも本当の事じゃない?
まぁ、私は他人に興味ないだけだし。
どうでもいい。
「そんなくだらない事で私に関わろうとしないで」
私は立ち上がり、鞄を持ってドアへと向かう。
「はぁ、いつもの所か?」
「うん」
そう言って、私は教室から出た。
あいつらと関わるとろくなことない気がしたから。