国中に鳴り響く鐘の音に、ひどく鬱陶しさを覚えた時、彼は現れた

向かい側のバルコニーに姿を現した紳士は告げた

悲しい運命を




バサッ

カーテンが開かれ現れた人を見て戸惑った

「れ、い?」

涙が頬を伝い私は動揺に包まれた

「零。零!!!」

大好きで堪らない彼

会いたくて、会いたくて、逢いたくて堪らなかった彼

でも、彼の耳には私の声は決して届かなかった