なんかいろいろ卑怯だっ!

「貴島、お疲れ様」


「ありがとう。もしかして、見ててくれたのかい?」


「うん。速くて、かっこよかった」


やっと言えた。
暑かったからか、貴島の白い頬は赤く染まっていた。



「暑い、食欲が出ない……」


昼休み、瑠歌はぐだぐだとお弁当をつついていた。


「わかる。暑いときっておにぎり食べるのがしんどい」


私のお弁当には、ぎゅっと握られた三角のおにぎりが、二つ詰まっていた。
頑張って作ってくれたのだけど、夏は厳しい。


「そうか?暑い季節こそ美味しい食べ物があるし、食欲はなくならないぞ?」


「ベルナルドはトマトとモッツァレラのサラダとかの、おしゃれで涼しいのを食べてるじゃん。私も涼しい感じのをリクエストしよ」


ベルナルドのお弁当が羨ましくなってきた。
ベルナルドのお母さんはイタリア料理のお店をしているらしい。たまに行くんだけどとても美味しい。


もう……肉団子は夏ばてに厳しいって!
こんな日に限ってトマトが入っていない。お茶で流し込むから水筒がどんどん軽くなる。
まだ授業があるのに……。


それでも、スパイスがきいたチキンは食べることができた。これは暑くても美味しいんだよね。
私は夏ばてするとお肉を食べたくなくなるのに。


「貴島が一番大変そうだよね」


「一段にしてもらったから大丈夫だよ。夏に食欲がなくなったこともないから」


それでも、他の子より大きい箱だ。
ご飯の真ん中に大きな梅干しがのっている。きゅうりと昆布の和え物か……美味しそう。


そうだ、自分でメニューを考えて、お母さんに言ってみよう。
ここで文句を言うだけじゃ変わらない!


貴島のお弁当を作る時の参考になるかもしれないし。
よし、今日は図書館で調べてみよう。


料理の本も置かれている市立図書館に行くと決めた。最近行っていなかったから、どうなってるかはわからないけど。