なんかいろいろ卑怯だっ!

その後他の人にも聞いていき、四つの案が書かれている。


「今のところ俺が選ばれることは確実だな」


津端は背もたれにもたれながら頭の後ろで腕を組み、得意気に言った。


「それはどうかな。他の人の案を鼻で笑えるほど、君の案も支持を得ていないと思うけど」


貴島はさっきのことに気付いていたらしい。そう言えば、貴島は津端の後ろの席だった。


「はぁ?まあ~早霜に勝つことは確実だな」


「些細なことでも勝ったと思って見下さないと生きていけないのか。勝ち負けを気にすることは止めないけど、他の人を不快にするのはやめてくれないか」


「何だよこのブス専!」


貴島は机の上で組んでいた手をほどき、制服のポケットからデザインナイフを取り出す。


「夏休みが明けて機嫌が良くなっていたのに……」


「普通逆じゃね?」


お調子者の男子の、空気を読まないつっこみに笑いかけた時だった。


「新学期早々クレイジー貴島発動か!?」


瑠歌が立ち上がった。椅子に右足を置き、貴島を指差して声を上げる。


「クレイジー!テーマはクレイジーでどう!?」


普段は大人しい女子が、手を合わせながら嬉しそうに言った。


「クレイジー!よっし、暴れようぜ!」


「クレイジーがテーマってことで、ハデなアクセつけてもいいですかー?」


自分が考えるクレイジーを次々と口にする。クレイジーに決まる流れが出来ていた。勢い付いた流れを変えることは出来ない。


「よし、それでいいな!?後、文化祭でもハデなアクセは禁止だ!」


「それでいいよー」


結局、文化祭のテーマはクレイジーに決まった。