なんかいろいろ卑怯だっ!

私と貴島はお好み焼きを買って、どこで食べるか相談する。


テントの下は満員だし、一度ここから出て座れるところを探す。


「瑠歌たちにも言った方がいいよね」


そう言ってみたけど、この人混みの中から見つけ出すのは難しい。
見回してみるけど、見つからない。


「おーい!親奈ー!」


「ちょっと!せっかく二人きりにしたのに!」


正反対の姉妹の声が聞こえる。瑠歌、礼子ちゃん、そして後ろで見守るベルナルドで、三人ともレジ袋を提げていた。


三人とかち合った私は今の状況を伝える。


「お好み焼き買ったけどテントの下は満員だし、ここから離れたところで探すよ」


「そっか、こっちも食べ物買おうってなったところだし……」「気にせず、先に行ってね」


礼子ちゃんは瑠歌が最後まで言う前に割り込んだ。
そして瑠歌の腕を引っ張り、過ぎ去っていく。


「礼子、自分が思ったことを言えるようになったね」


瑠歌の前だから、というのもあるかもしれないけど、我慢し過ぎなくなった。

あの日、自由だと言えてよかった。礼子ちゃんが立ち向かえてよかった。