なんかいろいろ卑怯だっ!

今まで平凡に過ごしてたのに、貴島が転校して来てから平凡じゃなくなった。嫌だな……今教室行ったら布人間の正体私ってばれるじゃん……。


私が来てすぐに朝の会が始まり、先生は布人間のことを話した。


「布を被ると前が見えなくなって非常に危険だからやるなよー」


先生は私の方をちらりと見て話す。やめろこっち見んな。
朝の階が終わった後も布人間の話題は消えなくてトイレに引きこもりたくなった。


「まさかヒィ錦柑子がwwwラジコン使ってwww逃がしたとかじゃないだろうなwwwって先生がwww」


瑠歌がわざわざ私の席の近くまで来て死にかけの蝉のようになっている。どうしようこの子……。


「彼女を保健室へ連れて行った方がいいかなあ?」


貴島が何故か虫を見るような目で瑠歌を見る。やめてあげて貴島!ていうか貴島もそんな目になることがあるんだね……。


「私が連れていくよ」


仕方ないので私は立ちあがって瑠歌に肩を貸す。


「早霜さん、支えるのは大変だろう。僕が行くよ」


貴島も立ちあがって私についてくる。瑠歌の友達は私だから貴島に任せっきりは嫌なんだけど、付添二人はさすがに多いよね?
気にはなったけど二人で保健室に行くことにした。


貴島は瑠歌の前に腰を下ろし、背に乗りかかるよう促す。瑠歌が軽いのか貴島が力持ちなのか、すんなりと背負い上げた。


「すごい、普通に人を背負えるなんて力があるんだね……」


肩を貸すのが限界だった私は力の違いに感心する。貴島は、困っている人のためなら容易いことさ、と涼しげに微笑む。


「ひひっ、これでもぉ?」


「こらこら、君は体調不良なんだからな。大人しくしなよ」


貴島はそれまで余裕のある表情だったのが瑠歌に腕を突かれ続けた途端青筋を立てた。私が横から、貴島じゃなかったら振り落とされるよ、と瑠歌に言うと大人しくなった。


三人で保健室に向かい、その途中ベルナルドに会った。ベルナルドは上履きの色で3年生だと分かった。


「ベルナルドも保健室なのか?」


貴島がベルナルドを見てあきれたという様な感じで聞く。


「ああ、ちょっとな」


ベルナルドは嬉しそうな顔で答えた。あっ隣に女子がいる。さてはベルナルド……サボるんじゃない帰るんだいるべき場所へ!