親が懇談に来なかった人は、今日成績表を渡される。
貴島もその一人だ。


帰り道に、瑠歌が成績表を見せてとせがんだ。貴島は、これを見て何になるんだと言いながらも見せてくれた。


「すげー!五と四だけだ!私なんか二と三が続いてるだけだよ!二三二三……なあ兄さん!」


「もう瑠歌には見せないでおこうか……」


成績表はうざ絡みの原因になった。貴島はげんなりしている。
お兄ちゃんは大変だね。

しかし、貴島すごいなあ。私は安定のオール三。実は四を取ったことがない。二はあるけど。

数学で二を取った中一の二学期、こっちサイドに堕ちたと喜ぶ瑠歌を見ると悔しくて勉強を頑張った。それでもオール三なんだけど。


「瑠歌ちゃん、二って大丈夫?一つならまだしもいくつもあるのは……」


「大丈夫!今に始まったことじゃない」


「去年からそんな感じなの……?」


親指を立てる瑠歌に対して、礼子ちゃんがあり得ないというふうに見つめる。


「今年も補習よー。あーめんどくさ」


中学になると、部活や補習という予定が新たに登場する。
私のスケジュール帳には無いけど。


でも、素敵な予定を書き込める。


家に帰って、七月二一七日の枠に夏祭りと書いた。
貴島は八月六日か七日あたりに帰ってくるのか。


その二つの間に、貴島帰還と書く。この日も楽しみだ。
文字を指先で撫でた。