なんかいろいろ卑怯だっ!

教室に戻ると誰かが、先生に怒られるかなと話していた。
帰るの遅くなりそうだ、せっかくの最終日なのに、と不満をこぼす。


でも、あんな風に大声出して文句言えるのはスッキリするね、と笑っていた。


「座れー」


ガラガラとドアが開いて、当坂先生が入ってきた。
何人かが慌てて自分の席に戻る。


「さっきの壮行会で大変な騒ぎになったのは知ってるよな?」


怒られると思い、身構える。
私は静かにしていたけど、学校ではまとめて怒られる。


「壮行会での乱入をきっかけに、部活で思っていたことを吐き出すことになった。総体に出る人は体育館から出て、壮行会がほぼ終わった状態に騒ぎが起きた。終わりかけだからまだ良かったが……」


最後の夏という人もいた。その壮行会が滅茶苦茶になったら……。


「教頭先生にも恐れず自分の意見を言う。先生は感動した!これからも時と場所を考えて思い切り言ってしまえ!」


そういえば、校長先生や教頭先生にねちねち言われていた。
きっと当坂先生も、言葉にはしないけど不満があるんだと思う。大人よりも恐れず言葉に出来るのは子供の特権なのかもしれない。


「夏休みも顧問の態度が変わらんかったらストライキしてやる!」


「今日部活あるから楽しみ!部活改革だー!ついでに態度がでかい先輩も何とかしてやるー!」


中二病の乱入から、部活全体をを変える出来事になるなんて。
蛇田も弟のことを馬鹿に出来なくなる。


中二病はただ痛いだけではないのかもしれない。
部活に入る気は無いけど。


「これからは下校方法も思い切りやったるよ!先生が止めたって聞かない!帰宅部ばんざーい!」


そう言って椅子に乗った瑠歌が飛んだ。自重しろ帰宅部。


「錦柑子、夏休み前に怪我するなよ!えーっと、プリント配るぞー!」


山盛りのプリントや宿題を受け取れば、夏休みの始まりだ。
危ないことをするなと話す当坂先生は、瑠歌に名指しで注意した。


「はいはーい。全く、失礼なやつだ」


瑠歌は背もたれにもたれかかり、プリントをバサバサと扇ぐ。


早く終われ。貴島を夏祭りに誘いたいんだ。
どうやって誘おう。普通に、二一七日の夏祭り、一緒に行かない?でいいのかな?


OKかな?行けるかな?ドキドキしてきた。
下手なペン回しが止められなくなっていた。