朝、学校に行くと蛇打の弟が立っていた。


「ふっ、選ばれし神獣と星の巫女よ……」


校門にもたれかかり、腕を組んでいる。痛い。そしてめんどくさい。


「我と契約し、極上の賢者の石を生み出さないか?」


意味が分からない。賢者の石とか知らないし。


「うっわーいったーい!賢者の石とか本当に作れるの?」


「我の力を疑うのか?いいだろう、賢者の石を見せてやろう!」


黒いジャケットの内ポケットから、赤い宝石らしきものを取り出し、掲げる。キラッと光り、綺麗だ。


「何、色つきミョウバンをかっこつけて見せてるんだい?」


「ミョッミョウバンだと!?」


図星のようだ。賢者の石の正体はミョウバンだった。


「行こー」


瑠歌がポンと私の肩を叩く。


「うん」


「待て!魔力を籠めれば……」


諦めずに私を引き留めようとするけど、訳のわからない物のために使う時間はない。
振り返ることもなく、校舎に入っていった。


蛇打の弟は賢者の石なんか作って何がしたいんだろう?
朝の会の間も考えてしまう。アクセサリーにでもするのかな?それなら私の力はいらないんじゃ……。
極上の賢者の石をどうやって作るのか想像出来ないし、あやしいことに力を貸したくない。


蛇打が飽きるのを待つしかないか……。しつこそうだし、諦めさせるのは難しい。