「そうだったんだ……」


助けただなんて。ちょっと言い返すことくらいしかしてこなかったし、今は臆病な人間なのに。桃ちゃんの方がしっかり守ってた。


「私、本当は優しくない。今は逃げてばっかりで、いつも何かに立ち向かえるわけじゃない……」


「誰だって逃げる時はあるよ。でも、君は大事な時に逃げないじゃないか」


本当にそうなのかな?でも、貴島の言葉を信じたい。その言葉通りの人になりたい。


いつの間にか涙が出ていて、貴島がそっと抱いてくれる。優しく頭をなでられ、涙が止まらなくなった。


「ティッシュだぞーこれで拭きたまえー」


そう言って瑠歌がティッシュをひらひらさせる。つい笑ってしまい、いま咳を我慢している所だ。


「大丈夫ですかっ!?」


礼子ちゃんは慌て、貴島は私を座らせる。盛大にむせたあと瑠歌を睨んだ。


「ごめーんなさーい。自分なりに元気づけようと……」


瑠歌に悪気はないのだ。仕方ない。


すぐに弱気になってしまうけど、立ち直りながら皆と一緒にいたいな。