五年生の時、大人しい礼子ちゃんはいじめられていた。全てのことを否定されていて、見えない暴力で苦しんでいた。
「礼子、ちゃんと文は二つ作れよ~」
「ほらさっさと書け!」
「……ごめんなさい」
礼子ちゃんは泣きながら漢字ノートに書き始める。
「ちょっと何泣かせてんの!?」
偶然近くを通った桃ちゃんが言った。
「泣かせたんじゃなくて教えてあげてるんだよ」
礼子ちゃんに教えてあげると言いながら、数人で囲んで揚げ足を取っていた。
このときの先生は、礼子ちゃんのゆっくりとした動作が気に入らないから、この男子達の行動も礼子ちゃんのためになると思っていた。
だから、先生に言ったら礼子ちゃんが怒られることもあった。
先生に言っても意味が無い。これ以上注意しても自分が狙われるだけで意味が無い。
桃ちゃんは不安そうに去って行く。
もう許せない。
この時の私は勝つ自信があった。だって、漢字ノートが遅れている人は文を一つだけにしていいと言っていたから。
先生が言っていたんだからあいつらだって聞くはずだ。
震える足で、鼻息を荒くして近づいた
「先生が、遅れている人は一つでいいって言ってたよ!」
言えた!どうだ、これで礼子ちゃんをいじめられないだろう!
正義のヒーローになった気分だった。
「はあ?そんなの聞いてないし!」
「そもそもこいつが遅いのが悪いんだろ?」
「遅れている奴が免除されるって不公平だ!」
私の予想と反する言動に、茫然とした。そして、恐怖で足が震えた。
次は私だ。
ちょうどチャイムが鳴った。
男子たちは何事も無かったかのように去って行く。
礼子ちゃんは、黙々と漢字ノートを進めていた。何も言うことができず私も自分の席に戻る。
その後、私もいじられることが多くなった。時々悪口も言われた。
礼子ちゃんとは少し仲良くなったけど、終業式前に転校してしまった。私はその後も笑われ続けた。
それから私は、浮いている子を助けない。目立たない。反論しないをモットーに生きることになった。これで普通の子と同じように生きていけると思った。
まあ、主に蛇打のせいでずっとこの立ち位置なんだけどね。
「礼子、ちゃんと文は二つ作れよ~」
「ほらさっさと書け!」
「……ごめんなさい」
礼子ちゃんは泣きながら漢字ノートに書き始める。
「ちょっと何泣かせてんの!?」
偶然近くを通った桃ちゃんが言った。
「泣かせたんじゃなくて教えてあげてるんだよ」
礼子ちゃんに教えてあげると言いながら、数人で囲んで揚げ足を取っていた。
このときの先生は、礼子ちゃんのゆっくりとした動作が気に入らないから、この男子達の行動も礼子ちゃんのためになると思っていた。
だから、先生に言ったら礼子ちゃんが怒られることもあった。
先生に言っても意味が無い。これ以上注意しても自分が狙われるだけで意味が無い。
桃ちゃんは不安そうに去って行く。
もう許せない。
この時の私は勝つ自信があった。だって、漢字ノートが遅れている人は文を一つだけにしていいと言っていたから。
先生が言っていたんだからあいつらだって聞くはずだ。
震える足で、鼻息を荒くして近づいた
「先生が、遅れている人は一つでいいって言ってたよ!」
言えた!どうだ、これで礼子ちゃんをいじめられないだろう!
正義のヒーローになった気分だった。
「はあ?そんなの聞いてないし!」
「そもそもこいつが遅いのが悪いんだろ?」
「遅れている奴が免除されるって不公平だ!」
私の予想と反する言動に、茫然とした。そして、恐怖で足が震えた。
次は私だ。
ちょうどチャイムが鳴った。
男子たちは何事も無かったかのように去って行く。
礼子ちゃんは、黙々と漢字ノートを進めていた。何も言うことができず私も自分の席に戻る。
その後、私もいじられることが多くなった。時々悪口も言われた。
礼子ちゃんとは少し仲良くなったけど、終業式前に転校してしまった。私はその後も笑われ続けた。
それから私は、浮いている子を助けない。目立たない。反論しないをモットーに生きることになった。これで普通の子と同じように生きていけると思った。
まあ、主に蛇打のせいでずっとこの立ち位置なんだけどね。