学校を出たら家に帰らず大月橋に行く。貴島と瑠歌、そして何故かあの時の女の子がいた。多分そんなに時間はかからないから大丈夫だろう。


そこまで大きくない川にかかる、そこまで大きくない大月橋は自転車や犬の散歩をしている人しか渡っていなかった。一応車一台は渡れる。


「それでは、凄いニュースの時間だよ」


心の準備をして、耳を澄ます。授業中も気になって仕方が無かったのだ。聞き逃すわけにはいかない。何故かあの子がついてきたことでもっと気になった。


貴島が真面目な顔で言った。



「実は、瑠歌と礼子は……僕の妹なんだ」


なんですと!?


「いっ妹!?」


「そ。私は腹違いの妹なんだけどねー」


瑠歌が軽く言う。そんなこと聞いてなかった!
貴島は今まで隠してたの!?それとも最近知ったの!?そして礼子ちゃんって……

「私は双子の妹なんです。お兄ちゃんにはあまり似ていませんが……」


言いたいことはたくさんある。けど、今言おうとしたら口の中を噛みそうな勢いになるので自分を抑える。


「昔、お兄ちゃんはお父さんとフランスに行ったけど、私は日本に残されたの。貴島だと悪い人に狙われるから三隈に変えたの」


そうか、お金持ちだったら狙われるかもしれないよね。礼子ちゃんは特に狙われそうだ。

「僕は君のことを転校してくる前から知っていた。礼子から、君の話を聞いていたんだ」


礼子ちゃんを思い出せそうで思い出せない。どこで会ってたんだ!?


「礼子を、助けてくれてありがとう」


助けた……!?


「私は五年生の時、いじめられていた。そのとき、親奈ちゃんが助けてくれたでしょ」


思い出した。臆病な性格の原因を。