なんかいろいろ卑怯だっ!

さっきは音楽の時間だった。替え歌を作られたり散々な目に遭った。貴島はその様子を大人しく……いや、ゴミを見るような目で見ていた。


まあそれは気付かれてないしいいや。これ以上面倒なことに巻き込まれたくないし。
出来るだけ陰口を聞かないように、早く教室に行こうとしていた時だった。


「やめて下さい……」


今にも泣きそうな声が聞こえた。多分女の子だ。
やめた方がいいと思っていたけど、体が勝手に動いていた。


「何してるの!?」


予想以上に声が響き、驚いたようだ。
一人の女子を五人の男子が取り囲んでいた。一人、見覚えがある……蛇打、あいつだ!


「なんだよ早霜、彼氏と一緒じゃないのか」


蛇打がそう言うと残りの四人も笑う。女子はまだ怯えていた。


「いじるのは私だけにしなよ」


他の子に、こんな思いしてほしくない。今はそう思っていても、自分だけでいいから助かりたいと思ってしまうかもしれないけど。


「あっそーですか」


蛇打がここから離れるようだ。


「いい子ちゃんのせいでつまんねーことになったなー」


「お前マジうぜー」


私の顔を見て悪態をついてくる。最後、肩で突き飛ばされた。


「ごっごめんなさい!私のせいで!」


とうとう目が潤み、私にぺこぺこと謝る。


「いっいいよ別に!私だけでなく他の子にも手を出すのは駄目だと思っただけで……」


「ごめんなさい!」


肩より少し上の黒髪を揺らして謝る。小柄で気が弱そう……ああいうやつのターゲットになりやすい子だ。
チャイムが鳴ったので、二人とも急いで教室に戻る。まさかこの子と関わりがあったとは思ってもいなかった。