なんかいろいろ卑怯だっ!

昼休み、何も食べたくない。何をされるかわからない。


「親奈、こっちこーい!ゴボウと交換しとくれ!」


瑠歌は休み時間の間、自分に注目を集めて私が何もされないように頑張ってくれた。
それでも私の周りに人は来る。


「ひひっ春雨だ」


今度は自分の食べ方でみんなを遠ざけようとしてくれる。


「まだいやがる。さっさと去れ!ラジコン使ってオレンジの汁かけんぞ」


「ああ、まだいたのか。空気が悪くなるから帰ってくれないか。食事中なんだよ」


瑠歌と貴島が攻撃する。しかし、五人だけどうしても離れなかった。


「なあ早霜、貴島と付き合えるってどんな気分なんだ?」


「下品な顔を見せるな。喋るな」


貴島は蛇打に目を向けることも無く、冷たい声で言う。


「無視かよ早霜。つまんねーな」


やっと蛇打たちは去って行った。
つまらない、去って行ったのはいいけどそう言われるのは嫌だった。自分の価値が無いみたいに思えるから。


食欲が無いところに、お茶で食べ物を流し込むように食べる。


「無理して食べなくてもいい。そうだ、君がくれたあのゼリーを帰りに買おうか?」


箸を持つ私の手を抑えてそう言った。優しく触ってくれるのが心にしみる。


「いっいいよ……大丈夫」


突き刺さるような冷たい視線のせいで素直になれない。
本当は……貴島の近くにいたい。もっと甘えたい。


本当、私って弱いなあ。自分の思ったことを言えない。言いたいことは溢れてくるのに……。