なんかいろいろ卑怯だっ!

「走ってきたのかい……?」


「はいっ……ベルナルドより早く着かないといけないから……」


そう言うと、すぐ椅子に座り、机に置いてある水を飲んだ。
流れ込む水が寒い空気で渇いた喉を潤す。
礼子ちゃんはパーティーの前なのにぐったりしていた。


その後、貴島がきた。瑠歌がクラッカーを配り、待機していた。


「ただいまー!」


ベルナルドとベルナルドのお母さんが帰ってきた。


「お帰り!卒業おめでとう、パーティーの用意は出来てるよ!」


一斉にクラッカーを鳴らし、出迎えた。


「そういうことだったのか……!ありがとう!」


ベルナルドを席に案内し、パーティーが始まる。
賑やかで楽しい時間だった。


「ベルナルド、そのピザ好きだねぇ」


「ああ。瑠歌はどれが好きなんだ?」


「私もそれだよ。美味しいよね」


今日は瑠歌がベルナルドに話しかけることが多いなあ。
熱々のピザを切りながら思った。もっちりしてて美味しい。


オリーブが入ったサラダも食べてみる。噛むと、じわっとオリーブの果汁が出てきた。野菜はシャキシャキしていて、ハーブの良い香りが広がる。


私は黙々と食べていた。


今日の歌良かったよ、とか、ちょっと思い出を振り返るくらいだった。


「ベルナルド、高校ではオレンジに乗ったりしないのか?」


「流石に無いな」


初めて会ったときのことを思い出し、クスッと笑った。


「もうそろそろ帰らないと……失礼しますっ……!」


貴島は少し焦った様子で立ち上がった。
そして、外に出て行った。


「あら、用事かしら……?」


大丈夫かな、貴島。遅れたら厳しいお父さんに怒られてしまう。
これで実は会っていることがばれたら……。