私は三隈 礼子。貴島 礼子ではない。
お父様には囚われない。


朝、ハンガーにかけられたブレザーを着ようとした時だ。


何かが落ちた?
床を見ると、小型の盗聴機だった。


「やってくれるじゃないの……!」


私は盗聴機を握りしめた。
卑しい。本当、最近の不景気で心に余裕がなくなってるわ。

これはリアルタイムで聴けないはず。
瑠歌ちゃんが同じのを持ってるから、入れ替えればいけるかもしれない。


お兄ちゃんの服も見ておかないと。きっと付けられている。


監視が無いとも言えないので、普通に過ごす訳にはいかないけど……。
案外ザルね。