なんかいろいろ卑怯だっ!

「反抗期というやつか。しかし、ここで甘やかしてはいけない。道を外れないよう、制裁を加えなくてはな」


「制裁?そんなもので、お兄ちゃんを止められると思ったのかしら?余裕が無くなってきたわね」


礼子ちゃんは冷ややかな目でお父さんを見る。


「礼子、いつからそんなことを言うように……。悪い影響を受けたな」


礼子ちゃんは、自分の思ったことを言えるようになっただけ。
でも……礼子ちゃん、いつもと雰囲気が違う。
暴れる時とも違う。何か変わったことがあった?


「礼子はもう何も言うな。親奈、灯夜は君に縛られている。本当に好きなら解放してあげるべきではないのか?」


「父さん!何を言っているんだ!親奈、気にしなくていい!君の存在は僕の力になっている!」


貴島はそう言ってくれるけど……。
私と付き合わなければ、貴島はもっと人気者になっていたかもしれない。


それでも、私は譲らない。
私は五人で、そして貴島と二人きりでいる時間が好きだ!
自分に正直になるって、告白されたときに決めた!


「放す気はありません。私、意外としつこいんです。一度好きになったら簡単には逃がしませんから!」


立ち上がって宣言した。



「そうか、仕方がない。灯夜、今から彼女と接触するな。もし逆らったら、お前をすぐに転校させる。それでも連絡を取り合うようなら……彼女がどうなっても知らないぞ」


絶望的な命令だ。
この人なら本当にしそうで、逆らえなさそうだった。


「礼子、明日から二人を見張れ。隠したりすればお前も転校させる」


「そんなことが通用するとでも?然るべき機関に相談するわ!」


「中学二年の小娘が言うことを信じると思うか?」


「やつらが役立たずなら訴えるだけよ。賠償の用意をしておきなさい」


どうしよう、私のせいで家族の仲を悪くした!?
礼子ちゃん、子供が訴えるってどうするの!?


中学二年生がする抵抗なんか、たかが知れている。


「貴島、一度離れよう」


「どうしてだい!?お父さんの言うことなんか……」


「このままだと、家に帰る度に苦しくなる。それに、大人は皆、親の味方になる。何だかんだいって育てられている途中だから」


このまま自然消滅するかもしれない。けど、貴島を信じて言うよ。


「時が来たら、あの公園に、迎えに来てくれる?」


いつになるかわからない。もしかしたらその時には好きじゃなくなっているかもしれない。


それでもあの場所で待ちたい。


「……わかった。早く大人になって、絶対に迎えに行く」


貴島も寂しそうだけど、決意を固めたみたいだ。


「これで終わりだ。礼子、お前はもう部屋に戻れ」


私は後ろ髪を引かれる思いで出口に向かう。


礼子ちゃんは部屋に戻れと言われたけど、門まで見送ってくれた。


「私も出来る限り協力するよ。ずっと会わないなんて無理だもんね」


「ありがとう……!」


今年一番の災難かもしれない。
けど、私は一人じゃない。大丈夫、災難の後には良いことが待っていた。