なんかいろいろ卑怯だっ!

二年生の劇の後は休憩時間だ。
私は舞台から出て行く貴島たちのところに行った。


「五月雨さん、何であんなアドリブを……」


「友達に頼まれたの」


やっぱり……五月雨さんは……。


「私が頼みました」


台本を持った瀬戸さんが現れた。


「事前に用意してたんでしょ!私にも言ってよ!ていうか、出演者でもないのに勝手なことしないで!」


「私だけの意思ではありません。台本を書いた生徒の意思でもあるのです。この流れは原作者公認です」


「何でそんなことがわかるのよ!」


優等生の皮が剥がれた佐屋さんは声を荒らげる。
瀬戸さんはふっと笑い、台本を軽く叩いた。


「この台本を書いた生徒は私の友達です。これは友情をテーマにしたストーリー、貴と弥生の恋愛なんて想定外でした。彼女は朝美が置いてきぼりになることを恐れ、展開を変えてほしいと言いました」


そして、足元に置いていた鉢を抱えた。


「このゼラニウムもニチニチソウも、友情を表しています。あの子も私も結ちゃんも、あなたの恋愛を入れ込むつもりはありませんでした」


「ちっ……勝手なこと言って……!折角のチャンスだったのに!貴島君の近くにいられる貴重な時間だったのに!」


佐屋さんが、瀬戸さんを突き飛ばした。
瀬戸さんは両手が塞がっている!


「大丈夫!?」


「ありがとう。支えてくれたからどこもぶつけてない」


横にいた五月雨さんが支えたから、瀬戸さんは無事だった。


「走り去っていくなんて……もうどこにいるかわからない……!」


私は突き飛ばして逃げた佐屋さんに対して、怒りが沸き上がる。


「同じ学校にいますし、探せば見つかるでしょう。でも、先生に言うつもりはありません」


「そうか……。瀬戸さん、五月雨さん、ありがとう。台本を書いた友達にも、良い話だったって言っておいて」


色々あったけど、「雪解け」自体は好きだ。雪が溶けるように誤解が解ける。弥生のために頑張る朝美と貴の優しさも好きだし、いじめっ子をいつか許せるようにと考える弥生も強かった。


「はい!……あの子もきっと喜びます」


「それじゃ、貴島君と仲良くねー!」


手を振り、二人とわかれた。
文化祭の危機は過ぎ去り、後は安心して楽むだけだ。


自分の役目を全力で果たした人たちに、良いことがありますように……。