なんかいろいろ卑怯だっ!

雪玉や雪だるまが完成し、作業に時間がかかるところを手伝っていた日のことだ。
文化祭の日が迫ってきた。台本なしの練習で、台詞や動きは完璧にする。


「きゃー!」


「何なんですか?騒がしいですね……」


鉢を盛り付けていた瀬戸さんが眉をひそめる。
作業も少なくなったし、ちょっと見に行ってもいいかな?


高崎さんも気になるねと言いながらついてきた。瀬戸さんは黙々と作業を続ける。


「見た!?弥生、最後で貴の手を繋いで……」


「何か言いかけて何でもない!とか……絶対貴のこと好きだよねー!」


「何それ……」


私は愕然とした。
そんな、何で佐屋さんがそんなことを……。


「おー大胆だねー」


高崎さんが、貴島にくっついている佐屋さんを見て言った。
劇の演出上ではないんだ……。


何で!?そんなことしたら三重さんが怒るのに……。
貴島は嫌そうだけど、そのままにしている。


わからない。佐屋さんも、貴島も……。


二人の姿が頭から離れなくて辛い。
そのうち貴島も佐屋さんの方が良くなったら……笑う二人を想像して悲しくなった。


私は止めることは出来るのかな?私は劇で使うものを製作するだけだ。劇中に私は出てこない。劇で何が起きても、私は見ていることしかできない。


貴と弥生は私を知らない。
あの雪だるまは私が作ったのではなくて、登場人物が作ったものなんだ。
あの劇の中に私の役はない。