なんかいろいろ卑怯だっ!

もはや体育祭の競技じゃなかった。
ほぼ殴り合いだ。直撃しないようには考えるけど、失格にならないためだ。


顔に血がのぼって、少し切るだけでも噴き出しそうだ。


一歩も譲らない戦いは、思いがけない形で終わりを迎える。



一組の子が前に倒れた。意図的にではない。
服の裾を握られ、私も落ちかける。


嫌な音が聞こえた。その直後、私の膝と手にも衝撃が伝わる。


一組の子を下敷きにしていた。
近くで見ていた人が悲鳴をあげる。


「黒部さん……足、大丈夫?」


倒れたときにぶつけていないか心配だった。


「私たちは大丈夫……先にあんたたちでしょ!」


よかった、直前にずれてよかった。
岩代さんが悲しそうに私を見ていた。


「こんなことになるとは……残念だ」


勝ったのに、残念?
そこで私はやっと気付いた。勝つために手段を選ばず、暴走してしまった。


こんなの、本当に強い人とは言えない!


体勢を立て直そう、止まろうって言ってくれたのに聞かなかった。
素直に皆で喜べない!


勝って初めに聞いた言葉が、残念だった。
岩代さん、ごめんなさい。黒部さん、秩父さん、呉竹さん、ごめんなさい……。


よくやった、が聞きたかった。皆で泣いて笑って喜びたかった。


私、もう暴走しない。