なんかいろいろ卑怯だっ!

「お茶が美味しいぜ~!なんと、今日はゼリーもあるからな!元気回復!」


「怪我したって聞いたから心配したが……立ち直るのが早いな」


お茶をあおり幸せそうな瑠歌を見てベルナルドが言った。
貴島は豪華な弁当を膝にのせながら、目を伏せていた。


「貴島のために作ったんだ。全部は無理だったら……少しでもいいから……食べてくれると嬉しいな」


私は朝に作った弁当を貴島の側に置いた。
弁当は横で開けられるのを待っている。


「作ってくれた……!?嬉しいよ!でも……」


「その豪華な弁当、私に分けてくれないか?早弁したからちょっと足りないんだ」


「俺もいいか? 灯夜のところのを参考にしたいからな」


実はこうなることを予想して、三人で弁当の量を減らしていた。
昨日、貴島がいない間に相談していた。


「もちろんだ……!」


よかった、貴島の表情が柔らかくなった。
最初に瑠歌が海老やオクラを取っていく。ベルナルドは卵焼きとほうれん草のおひたし、私はかまぼこと黒豆を取った。


貴島はカレー風味のチキンを食べる。
食欲がない時でも食べたくなるから入れたおかずだ。


「美味しいよ……!」


このときの貴島の笑顔は、本当に素敵だった。他の人と話すときのすました笑顔でもなく、隙のないキラキラの笑顔でもなく、純粋な笑顔だった。
作ってよかった。安心した私は自分の弁当を食べ始める。


うん、美味しい。
スパイスの香りが広がる。お母さんから焼き方を聞いたら、柔らかく焼けた。


瑠歌とベルナルドはその後もお弁当からおかずを取っていった。
特に瑠歌が箸を近づけると、いつの間にかおかずは消えていく。


「礼子ちゃん、その量で足りるの?」


礼子ちゃんはその時話し合いの場にいなかったから、量は減らしていないはずだ。


「うん、まだ競技があるから……食べ過ぎるわけにはいかないの」


そうか、礼子ちゃんは午後の競技に参加するんだった。貴島もそうだけど、元々食べる量が違うから……。


礼子ちゃんは黙々と食べていく。それだけなのに、威圧感があった。