黒胡椒もお砂糖も



「勿論そうだよ、聞いてなかったの?ずっと君のこと話してたんだけど」

 ひょええええええ~!!

 今度は私が化石化して固まっていると、相変わらず静かな高田さんの声が聞こえた。

「・・・平林、ありがとうと言って欲しけりゃ、今、消えてくれ。お前は邪魔だ」

「本当に可愛くねえ!!」

「降りろ」

 高田さんは噛みつく平林さんに静かなままで、そんなエグい事をさらりと言っている。

 平林さんはヤレヤレと呟いてため息を吐いた。

「・・・せめて駅までは行けよ。この吹雪の中どっかの駅まで歩くの嫌だぜ、俺」

「判った」

 話がまとまってしまったようだ。私は呆然と聞いていたけど、そこでやっと覚醒した。

 そして身をおこして助手席にすがりつく。

「いやいやいやいや!平林さん、降りないで~!ってか、そうだ!私も降ります!降ろして下さい~!」

 高田さんと二人にしないでーっ!

 必死で言った私の言葉は、振り返った平林さんがアッサリと手で払った。

「何言ってるの。君を送って行くために車出したんでしょ」

「もう結構ですから!元々電車で行くつもりでしたし!」

「尾崎さんは降りたら駄目だよ」

「何でですか~!?」

 泣きかけで私が助手席を掴むのに、平林さんが手をヒラヒラと振って苦笑する。