「もういいだろ、そろそろ俺には教えろよ、お前水臭いって」
「・・・・」
「お前にもようやく思う人が出来たかって俺は安心してるんだぞ?気になってるんだろ、尾崎さんが」
――――――うん?
私はぱちくりと目を瞬いた。・・・あれ?尾崎って聞こえた?いやいや、まさかね。聞き間違い聞き間違い。
運転席から高田さんの低い声が聞こえる。
「うん」
淡々と実にシンプルな返事をしている。
「おー!やっぱりそうか!で、それはどの程度の気になってる、なんだ?」
興奮した平林さんが助手席から身を乗り出す。また淡々とした返事が聞こえた。
「好きだよ、尾崎さんが」
はい?
窓の外に目をやったままで固まった私は心の中で自分に突っ込む。・・・いやいやいや、だから、これは違う人の話でしょ。
バンバンと自分の座るシートを手で叩きながら、興奮した平林さんが嬉しそうに笑う。
「おおお~!よしよし。ついに言ったな~。そうじゃないかと思ってたんだ!全く俺って敏感な男だよ!ちゃーんとお前を応援してただろ?」
一度チラリと隣の平林さんに目をやって、高田さんは頷く。
「それは判ってた」
「礼がねえよな、お前はよ」
「助かる」
「ありがとうだろ?」
「ありがとうと言うほどのことはして貰ってない」
「何だよそれ!ちゃんと昼食にも呼んでやったし大会でも尾崎さんのところへ誘導してやっただろ!?」



