黒胡椒もお砂糖も



 ああ・・・。私は心の中でシクシクと泣きながら、表面上はひくついた顔で答えた。

「はい。お客さんの給付金手続きです・・・」

「おお、それは大変だ。どこまで?」

「ええと・・・職域まで」

 平林さんが同情の色を浮かべた目で私を覗き込んだ。

「この雪の中?さっき戻ってきたやつが言ってたけど、凄い寒いらしいよ。雪で前も見えなかったって」

「・・・はい、気をつけます」

「バスや電車も止まるかもよ。遠いの?」

「あの・・・どうにか行けると思いますので」

 もういいから会話も終了してくれ。私は必死で祈りながらそう答える。すると平林さんはうーん、と片手を口元に当てて唸った。

「これは放っとけないなあ~」

 私はチラリと平林さんを見上げた。するとその隣で、高田さんも同じように相棒を見ていた。

 ・・え、ちょっと待ってよ。まさか。

 背中を悪寒が駆け上った。

 一人で考え事をしていたミスター愛嬌が、うん、と頷く。

 そして笑顔で私を振り返り、軽やかにこう言った。

「俺たち尾崎さんを送りますよ」

 ・・・・・・・のおおおおおおおおおおお~う!!!!

 いきなり手のひらにまで汗をかいて、私は必死で首を振る。

「いえいえいえ!結構ですから!」