あら・・・このレタス、とってもシャキシャキ。それに冷たいし、丁度いい大きさ。簡単な料理だけどちゃんと手が入ってるんだな。うーん、よく味わってみれば、このドレッシングは店で調合してるのかな、このチキンも一度炙ってある?皮がぱりぱりで・・・それで、それで・・・。

 ビールを飲み干すと、何と私の前にはお代わりが置いてあった。

「・・・私のですか?」

 新しく用意されていたジョッキを指で示すと、高田さんはいつの間にかきていた自分のランチを食べながら頷いた。何と高田さんもビールを飲んでいる。平林さんが言う「普通だよ」は本当だったのかも。

 お代わり、頼んでくれたの知らなかった・・・。

 ちょっと間悩んだけれど、結局黙ってそれも飲む。

 さっきは驚いたビールの苦味が、今では甘みを含んでするすると喉を流れ落ちる。

 美味しい・・・。

 細胞が急に踊りだしたみたいだった。美味しい。これ、とっても美味しい!

 お互いに黙ったままでガツガツと食べる。ひと様に大いに自慢できるほどの美形の男とテーブルを挟んでいたのに、私は完全にそれを忘れていた。それほど久しぶりに食事に没頭していた。

 周りのテーブルが空きだして、ざわめきが落ち着いてきたことに気付いて顔を上げる。

 あらら・・・いつの間にか、ほとんど人がいないじゃない。

 えーっと・・・。行儀悪くジョッキを傾けながらぐるりと顔をめぐらせて、高田さんと目が合った。

「!!」

 飲みかけていたビールを噴出すかと思った。私は慌てて片手で口元を押さえる。