黒胡椒もお砂糖も



 どうしたらいいのかが実はまだよく判ってなかった。

 緊張はしていなかったけど、ぼんやりしていた。

 ゆっくりと振り返る。

「どうして・・・」

 私の呟きに高田さんが顔を上げて私を見た。

「・・・どこが、気に入ったんですか、私のこと」

 多弁ではない彼に、敢えて聞く。それから気がついた。そうか、私はここが知りたかったんだって。

 色んなものに拒絶されすぎてそれに怯え小さくうずくまる私の、一体どこが気に入ったのかを聞きたい。

 知りたいのだ。

 そうしなければ、本当の自信は戻ってこないような気がした。

 この人に愛されるわけにはいかないような気がしていた。

 ベッドに腰掛けたままで高田さんは少し首を傾げる。

 まだ黙ったままで、部屋の中は空調の音だけが微かに響いていた。

 ぽつりと言葉が聞こえた。

「・・・理由がいりますか?」

「え?」

 高田さんは私を見ている。ベッドサイドの明りは彼の顔に陰影をつくり、彼の静かな表情が強調されていた。

「好きになることに理由がいりますか?」

「・・・」

 だって。

 私はコートの裾を握る。だって、それを聞かなくては。私にはそれが大切なこと。それが・・・

「・・・だって、必要なんです、私には」