「・・・あれ?」
だって、好きな人が出来たって言ったじゃない。間違えを起こす前に結婚を清算したいんだって。美香が悪いんじゃないって。浮気でなくて本気だったから、彼は私を傷つけないように別れたはずで――――――――――・・・
「・・・ってことは、あれは、嘘・・・?」
陶子の心配そうな顔が私の視界で歪む。・・・あらら。何てことだろ。ほんと、何てこと・・・。
何が、彼は私に優しかった、よ。・・・私ったら―――――――――
・・・とどのつまりは、寝取られたんじゃない。
ふらつく状態を何とか踏ん張って抑えた。美香、と陶子が私の両手を握る手に力を込める。
「あんた達が離婚するときに、誠二を呼び出して皆で問い詰めたの。あんな別れ方誠二らしくないって。もっとちゃんと話合うべきでしょって。そしたら白状したのよ。1年ほど不倫をしていたって。・・・美香には内緒にしようと皆で話した。結果が同じなら、更に傷つける必要はないからって」
皆は知っていた。私の為に黙ってくれていた。そして誠二は友人全員が背を向けるという罰を受けた。
それはよく判った。
陶子は一生懸命だった。私はその目を見てハッキリという。
「大丈夫よ、陶子」
「――――――美香」
私は彼女の手の中から両手を引き抜く。冷たい空気に触れて、一気に体温が下がった気がした。
「教えてくれてありがとう。お陰で――――――」
もう足も震えてなかった。ショックで震えが来たのは一瞬のことで、その後に待っていたのは巨大な怒りの気配だった。
「・・・お陰で、誠二を吹っ切れそうだわ、私」



