黒胡椒もお砂糖も



 そしてさらりと言ったのだ。そのままの勢いで。

「誠二、結局彼女と結婚したらしいなあ。責任取るのは大事だけど、それにしてもひでぇ奴だよ。お前は最低なクズ野郎だって俺もいっといたからな、美香」

 ――――――――え?

 私は目を見開いた。

 ・・・誠二が、何だって?

「ちょっと、幸!!」

 私の後ろで陶子が厳しい声を出す。幸久はその声にビックリした顔をして、それから私の様子に気付いたらしかった。

「・・・え、あれ・・・?」

「幸、誠二ってもう再婚してるの?彼女って誰のこと?」

 真面目な顔になった私の問いかけに、口元を押さえる。そして私の後ろに立つ怒れる陶子の顔を見たらしかった。

「・・・あ。オレ―――――」

「幸?教えてよ」

 誠二が何だって?結婚してるの、あの人?一体いつの話?相手は―――――・・・

 私の後ろから、陶子の冷たい声が聞こえた。

「幸、もう行って。会社の人待ってるんじゃない?美香には私から話すから」

 一瞬で撃沈したらしい幸久は、がっくりと肩を下げて情けない顔を両手でこする。そしてうー・・・と唸ってから、頭を下げた。

「・・・悪い、美香。知らなくていいことを言ってしまった。許してくれ」

「幸―――――」

 彼のコートの袖を掴んだ私の肩に手をあてて、陶子が静かに言う。