黒胡椒もお砂糖も



 陶子と足元をふらつかせながら、真冬の繁華街をゲラゲラ笑いつつ歩いていたのだ。

 気分よく。早くから飲んでいたから、時間もまだ8時半を過ぎたところだった。

 すると、偶然が重なって遭遇したのは別の共通の友人だった。

「おー!もしかして陶子と美香か?!」

 アーケードに響き渡るパチンコ屋が出す騒音や飲み屋の呼び込み声にも負けない音量で、幸久が叫んでいた。

 私達は一瞬怪訝な顔をしたけど、その後で笑顔になってきゃーきゃー言いながら、離れたところで両手をぶんぶん振っている学友に駆け寄った。

「幸久~!!うわーお、めちゃくちゃ久しぶりだねえ!!何してんの?」

「今日忘年会だったんだよ、一番最後の!」

 そう言って待っていたらしい会社のメンバーに後で追いかける~と声をかけて、私達に向き直った。

「陶子も美香も久しぶりだなあ!元気そうで何より」

 この幸久も、元夫の誠二がいつも一緒にいた仲間の内の一人だった。いつでもお調子者で皆を笑わせてばかりいた男だ。

 陶子と違って彼はいくらかの変化が見えた。恰幅がよくなってたし、どこからどうみてもオッサンだ。会わずに過ごしてきた年月を思ってしまった私だった。

「今日は陶子ともすっごい久しぶりに会って飲んでたんだよ~!笑えるわ、一度に二人も懐かしい友達に会えちゃった!」

 私が笑いながら言うと、幸久はニコニコしてうんうん頷いた。

「美香、思ったより元気そうだな。良かった、離婚したって聞いて皆で心配してたんだ~」

 あははとい笑う幸久に陶子は私の後ろから睨んだみたいだけど、既に一次会で酔っ払っていた彼には通じないようだった。