「へえええ~・・・これは、いよいよマジな話なんだな」
ニタ~っと不気味に笑って平林さんは両手を擦り合わせる。おいおい、嬉しそうだな、兄ちゃんよ。さっきとは打って変わってえらく明るくひょうきんになった平林さんを、私は呆れて見ていた。
「・・・知りませんよ、本気かどうかは」
私が呟くと、平林さんが振り返った。
「あいつ、何でも出来るんです」
「はい?」
急に、何だ?私は顔を上げて、生き生きと話し出した平林さんを見上げた。
「実家が近くて幼少時からお互いを知っている。小さい頃からあいつは何でも出来たんです。そんなに乗り気じゃなくても平均より上手くこなす。真剣になる必要なんてなく、さらっと何でも出来る子供だった」
・・・嫌な子だな。私はそう思った。完璧な外見に、器用な手先と賢い頭。・・・くそ、嫌なやつだ。
劣等感の固まりである私がそうやって心の中で高田さんをこき下ろしているのに気付かず、平林さんは話す。
「それが、本気ですってか・・・。うわ~、面白い!やっとだよ、うーん、感激だ」
そんなことを言って一人で盛り上がっている。
幼馴染にはわかる何かがあるんだろうけど・・・。今の君は一人で笑うただの気持ち悪い男だよ。呆れた顔でそれを見ている私を見返して、平林さんはにやりと笑った。
「篤志が本気になることは滅多にない、と言っておきますよ、尾崎さん。もう逃げられませんよ」
おお、今度は脅された。だけど私はそれをスルーして質問する。
「あつしって誰ですか?」
平林さんは一瞬真顔になった。



