恋愛条件



『えっと、奥村彩織です。皆を影から支えられるマネージャーになれるよう頑張ります。よろしくお願いします』



そしていよいよあたしの番。


人前に出るの苦手だし、うまく言えるか分からないけど…。


ここはしっかりしないと、だよね。


あたしは覚悟を決め、口を開いた。



『1年の早川鈴音です。多少人見知りなところもありますが…気軽に声かけてくれると嬉しいです…!よろしくお願いします!』



言い終えるとあたりはしーんと静まり返っている。


………もしかして失敗しちゃった!?


1人で不安になっていると



『『『可愛いー!』』』



体育館を越えて校舎にまで響くんじゃないかと心配になるほど部員達の声が響き渡った。


─────────え?でも待って。


可愛いってあたしが?


………ありえない。


だって!


普通に彩織さんたちの方が可愛いし。


おかしいよ~……。


興味津々な彼らの目線にどうしようかと戸惑っていると。



『こら、あんたたちあんまり鈴音怖がらせないでよね!鈴音が困るでしょーが!』



詩羽さんの助け舟のおかげでなんとかあの状況から脱することができた。



『詩羽さん…ありがとうございます』



『いーのいーの。でも…可愛い子は大変だね(笑)』



『鈴音ちゃん、本当お人形さんみたいだもんね』



それ、彩織さんには言われたくない気が…。



『ま、3人でこれから頑張ろ!鈴音も入部するでしょ?』



『もちろんです!』



こんな楽しい部活、入らなきゃ損だよ。


こうして慌ただしい1日目の部活は終わりを告げたのだった。













そして着替えを済ませ、帰ろうと下駄箱へ行くと。


男バスの1年生が玄関でなにやら集まっていた。


……何してるんだろ。


そう思いながらその場を通り過ぎようとした時。



『お、やっと来た!今から1年だけで飯食いに行かねー?』



『え!?』