「ただいまー!」
シ-ン
まだ誰も帰っていないようだ。
母は今日はジムに行ってるはず。
兄は水泳部のキャプテンであるため、最近帰りはほとんど遅い。
私は靴を普段の定位置にしまい、部屋に行く。
お母さんもいないし、今日の宿題やっちゃおうかな。
カリカリ カリカリ
部屋には私のシャーペンの音が響く。
その時。
ガチャ
誰かが帰ってきたようだ。
時間的にお母さんかな?
私は階段の上から身を乗り出し出迎えに。
するとそこには兄がいた。
「あれ?お兄ちゃん部活は?」
「顧問が急用で、珍しくオフになったんだよ。麻莉奈はもう帰ってるかなーと思って帰ってきた」
「そうなんだ、じゃぁ私はまだ宿題のこってるから。」
「そうか。がんばれよー」
私と兄は仲が悪いわけではない。しかしかといって、とても良いわけでもない。
昔は兄の後をよく付いて回っていたが、さすがに年頃になるとそんなこともなくなる。
ふー。宿題おーわり。
少し下に行ってテレビでも見ようかな。
コンコン
「ちょっといいか?」
「お兄ちゃん?いいよー!どしたの?」
「もうすぐな、彼女が誕生日なんだよ~。女の子ってどーゆーものがほしいの?」
兄はだいたいいつも彼女がいる。別れてもすぐ告白されるから、彼女がいない方が珍しいくらい。
「ん~、なんだろう。アクセサリーとか?でも、ネックレスは拘束の意味があるからNGとかって、言うよね。」
兄はいつも彼女の誕生日が近づくと私に相談しにくる。
「そうか、ありがとな!ためになるよ。ところで麻莉奈は?彼氏とかいないのか?」
「急にどしたの?笑 私は今年高校受験だし今はいないよ。」
「だよな、俺と同じ高校の志望だっけ、頑張れよ。」
そう言って兄は私の部屋を出た。