「お父さん!お仕事お疲れ様!いろんな話をききたいよー!」


私は久しぶりにちゃんとお父さんに会えるのが嬉しくて珍しくはしゃいでいた。



「麻莉奈、あんまりお父さんを困らせちゃだめよ〜?」


「母さん大丈夫だよ。僕も久しぶりの娘に癒されてるさ。それよりも昌樹は?」


「今、お兄ちゃんの彼女が来てて、部屋でお話ししてるよ〜」


私は自分で説明しておきながら何だかモヤっとした。


「おぉ、昌樹が彼女を、連れてくるなんて珍しいな。相当気があってるのかもな。」


お父さんは呑気に言うが、私は何だか寂しかった。お兄ちゃんがどんどん離れていくような。


もし私がお兄ちゃんと同じ高校に行けたとしても、同じ学校に入れるのは1年だけ。


ましてやお兄ちゃんが受験生になる。


そうなると、今よりも関わりが少なくなるのは目に見えている。


「お父さん、私、勉強してくる!また休憩の時にお話ししよ!」


「勉強熱心なのはいいことだな、頑張ってきなさい。いつでも話してあげるから暇な時きなさい。」


医者としても立派な父は私の誇り。
そんなお父さんに応援されているんだから、頑張らなきゃ。


そう思って階段を登り始めると、お兄ちゃんの部屋から玲奈さんが出てくるのが見えた。


「あ、玲奈さん!帰るんですか?」


「うん、お父さんも、帰ってきたみたいだしお邪魔になっちゃうと思って。」


「別に良いって言ってんだけどな、まぁそろそろ時間も遅いし、駅まで送ってくるから。」


玲奈さんはお母さんとお父さんに軽く挨拶して帰って行った。



私は玲奈さんが少し羨ましい………。