ここにいる生徒たちは全員そう思っているだろう。


だけど、みんなほとんど口を開かなかった。


さっきの吉田君たちを見ているからだろう、うかつな事は言えないと思っているのだ。


それはあたしにとって不利になる事だった。


いつもうるさいくらいにおしゃべりをしているグループなら、きっと男に歯向かうと思っていた。


そうすれば吉本君と同じように犠牲になり、自分が生き残る確率が上がるはずだったんだ。


あたしはギリッと奥歯を噛みしめて、公恵を見た。


休憩時間には沢山の友達を従えてバカみたいに喋っているのに、今は大人しく、小刻みに震えている。


思いのほか怖がりなのかもしれない。


普段自分より下の人間と仲良くすることで、自分は強いのだと思い込んでいたのかも。


そうだとすると、公恵が選ばれればすぐに死ぬだろう。


あたしも負ける気はしなかった。


だけど、問題は男女一緒に戦う事になるかもしれないという点だった。


戦う相手はランダムに選ばれる。


性別も関係ないのであれば、女子は圧倒的に不利な状況だ。


理性を失うということは、作戦を考えていても箱の中でそれを発揮することもできない。


何を考えても意味だという事だ。


「あたしたち、ここで死ぬかもね」


あたしはそう言った。


彩美が赤く充血した目であたしを見る。