中村君がジッとあすかの事をみている。


あすかは中村君を睨み付けながらジリジリと距離を縮めていく。


中村君はなにもしようとしない。


どうしたんだろう?


そう思った瞬間、あすかの拳が中村君の頬にぶつかった。


中村君はよろけて壁に手をついた。


「おいおい、弱すぎだろ中村!!」


「もしかして、中村ってあすかのこと好きなの? だから手を出せないとか?」


公恵が言う。


だけど、そんな噂は聞いたことがなかった。


中村君が1人で密かに思いを寄せていたかどうかは、定かではない。


あすかは次から次へと攻撃を与える。


中村君はそれに耐えているだけで、防御するような素振りも見せなかった。


なにかがおかしい。


そう感じた時だった。


突然中村君がその場に膝をついたのだ。


それを見計らい、頭部に攻撃を加えるあすか。


「まじかよ、このまま負けかよ」


「へへっ、賭けはあたしの勝ちだね」


公恵がそう言う。